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介護タクシーとは?料金・利用条件・介護保険の適用を 【図解】わかりやすく解説【2026年版】

退院後の通院など、自力での移動が難しい場合は、介護保険が使える介護タクシーや自費の福祉タクシーを利用すると安心です。
一般のタクシーとは異なり、資格を持つ専門の乗務員が、車いすやストレッチャーのまま乗車から病院での乗降介助まで安全に対応してくれます。
ただし、保険適用の条件や、運賃と介助料金の複雑な内訳に戸惑う声も少なくありません。
この記事では、厚生労働省・国土交通省・自治体などの公開情報をもとに、サービスの違いから予約手順まで、わかりやすく解説します。
親の通院付き添いや、安全な移動手段の確保にお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
【この記事でわかること】
- 介護タクシー・福祉タクシー・一般タクシーの違い
- 介護保険が使える条件
- 料金の内訳と自己負担の目安
- 予約から利用当日までの流れ
- よくあるトラブルと確認ポイント
介護タクシーとは?定義と3種類のサービスを比較表で整理

一般には、以下の2タイプを総称して「介護タクシー」と呼ぶことが一般的です。
本記事では、混同を避けるため次のように使い分けます。
- 介護タクシー:介護保険が使えるタイプ(正式には訪問介護の「通院等乗降介助」)
- 福祉タクシー:介護保険を使わず、全額自費で利用するタイプ
※両者とも、道路運送法第4条の一般乗用旅客自動車運送事業に位置づけられます。
介護保険の指定を受けて通院等乗降介助を提供できる事業者かどうかが、利用者から見た実務上の違いになります。
参考:総務省「訪問介護における通院等乗降介助」
参考:田村行政書士事務所 介護タクシー事業の立ち上げ・独立開業「介護タクシーとは・介護タクシー事業の位置付け」
参考:国土交通省「自動車:福祉タクシー」
本章では、以下の3つのポイントについて詳しく解説します。
- 【介護タクシー】介護保険が使えるのは乗降介助のみ(運賃は自費)
- 【福祉タクシー】認定なしでも使えて通院以外にも利用できる
- 一般タクシーが不安なら「切り替え」のサイン
まずは、それぞれのサービスの違いを比較表で整理してみましょう。
| 比較項目 | 介護タクシー(通院等乗降介助) | 福祉タクシー(自費) | 一般タクシー |
|---|---|---|---|
| 介護保険の適用 | あり(介助部分のみ) | なし(全額自費) | なし |
| 利用条件 | 要介護1〜5で、ケアプランに位置づけが必要 | 身体状況による。要介護認定は不要な場合が多い | 特に制限なし |
| 料金の目安 | 介助料の1〜3割負担+運賃・機器使用料などは自費 | 運賃+介助料+機器使用料(すべて自費) | 通常のメーター運賃のみ |
| 介助の有無 | あり(玄関〜乗降〜目的地までの介助) | 事業者により異なる(基本的な介助あり) | なし |
| 対応車両 | 車いす・ストレッチャー対応車 | 車いす・ストレッチャー対応車 | 通常のセダン型が中心 |
| 乗務員の資格 | 第二種免許+介護福祉士・介護職員初任者研修など | 第二種免許(介護資格は任意) | 第二種免許 |
| 利用目的の制限 | 通院・役所手続きなど「日常生活上必要な外出」に限定 | 制限なし(買い物・冠婚葬祭なども可) | 制限なし |
| 家族同乗 | 原則不可(自治体運用で例外あり) | 比較的柔軟 | 制限なし |
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「介護タクシー運転手 - 職業詳細」
参考:国土交通省「一般乗用旅客自動車運送事業について(福祉輸送事業限定)」
この表からわかる最大のポイントは、「費用を抑えるか」「自由度を優先するか」の違いです。
介護タクシーは自己負担が安く済む分、「病院や役所へ行くとき」など利用目的が厳しく限定されます。
一方、福祉タクシーは全額自己負担になりますが、買い物や冠婚葬祭、お墓参りなど、どこへでも自由に行くことができます。
「病院への送迎」か「それ以外の自由なお出かけ」か、目的に合わせて使い分けるのが基本です。
【介護タクシー】介護保険が使えるのは乗降介助のみ(運賃は自費)
「介護タクシー」として最もイメージされやすいのが、このタイプです。
正式には訪問介護の「通院等乗降介助」と呼ばれるサービスで、訪問介護事業所として自治体の指定を受けた事業者が提供しています。
一定の条件を満たすと、乗降時の介助部分に介護保険が適用されます。
ここで多くの方が誤解しがちなのが、「介護タクシー=すべて介護保険で安くなる」ではないという点です。
実際には、料金は以下のように二重構造になっています。
| 区間 | 行為 | 介護保険の適用 |
|---|---|---|
| 自宅玄関 → 乗車 | 乗車前介助 | 保険対象(介助) |
| 乗車 | 乗車介助 | 保険対象(介助) |
| 移動(運転中) | 運転 | 自費(運賃) |
| 降車 | 降車介助 | 保険対象(介助) |
| 降車 → 病院玄関 | 降車後介助 | 保険対象(介助) |
運転中(移動中)のタクシー運賃は自費であり、介護保険が適用されるのはあくまで「乗降時の介助行為」に対する報酬です。
さらに、車いすやストレッチャーの使用料、有料道路代、キャンセル料なども基本的に自費となります。
※資格要件や算定の詳細は、最新の介護報酬告示および自治体の運用によって異なります。
【福祉タクシー】認定なしでも使えて通院以外にも利用できる
2つ目が、自費で利用する「福祉タクシー」です。
介護保険は使えませんが、通院以外の外出にも利用しやすいのが最大の特徴です。
| メリット | 事前に確認したいこと |
|---|---|
|
|
こんな方に向いています。
- 要支援認定で介護保険の通院等乗降介助が使えない方
- 通院以外(買い物・外食・お墓参り・冠婚葬祭など)にも移動手段が欲しい方
- 急ぎで移動手段を確保したい方(ケアプラン調整を待てない方)
- 家族で一緒に外出したい方
一般タクシーが不安なら「切り替え」のサイン
「これまで一般タクシーで通院していたけれど、最近乗り降りが大変になってきた」
そんなタイミングが、介護・福祉タクシーへの切り替えを検討する目安です。
以下のようなサインが出てきたら、切り替えを検討しましょう。
- タクシー乗車時の乗降動作がつらそうで、転倒リスクが気になる
- 車いすから一般タクシーの座席への移乗介助が難しい
- 玄関前の段差や階段で、家族だけでは支えきれない
- 通院のたびに家族の付き添いが必要で、送迎の負担が大きい
- 点滴後や術後など、座位保持が難しい状態での移動が必要
単純に運賃だけを見れば一般タクシーが安いケースもありますが、家族の送迎負担や転倒リスクまで含めて考えると、介助のあるサービスを選ぶことが結果的にご本人・ご家族の安心につながります。
介護タクシーを利用できる条件は?要介護度別の早見表

介護タクシー(介護保険適用)と福祉タクシー(自費)では、利用できる条件が大きく異なります。
要介護認定の有無や利用目的に加え、家族が同乗できるかどうかの基準の確認も必要です。
ここでは、利用条件に関する以下の3つのポイントについて解説します。
- 利用に必要なケアプランへの位置づけ(要介護度別の利用可否早見表)
- 要支援で介護保険が使えない場合の代替案
- 家族が同乗を希望する場合の注意点
「自分の親の場合はどうなるのか?」が把握できるよう、詳しく解説します。
利用にはケアプランへの位置づけが必要
介護タクシーを利用するには、要介護認定・身体状況・ケアプランへの位置づけという3つの条件をクリアする必要があります。
一方で、自費の福祉タクシーはより幅広い方が利用できます。
| 要介護度 | 通院等乗降介助(介護保険適用) | 福祉タクシー(自費) | 補足 |
|---|---|---|---|
| 認定なし | × | ○ | 福祉タクシーは身体状況により利用可能 |
| 要支援1 | △ | ○ | 原則対象外。自治体の総合事業・移送支援を確認 |
| 要支援2 | △ | ○ | 原則対象外。自治体の総合事業・移送支援を確認 |
| 要介護1 | ○ | ○ | ケアプランへの位置づけが必要 |
| 要介護2 | ○ | ○ | ケアプランへの位置づけが必要 |
| 要介護3 | ○ | ○ | ケアプランへの位置づけが必要 |
| 要介護4 | ○ | ○ | ケアプランへの位置づけが必要 |
| 要介護5 | ○ | ○ | ケアプランへの位置づけが必要 |
介護タクシーを利用するには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- ①要介護認定(要介護1〜5)を受けている
- 要支援の認定では、原則として介護タクシーの対象外となります。
- ②一人での乗降が難しい状態にある
- 公共交通機関を一人で利用できず、車両の乗り降りに介助が必要な方が対象です。
- ③ケアプランに「通院等乗降介助」が位置づけられている
- 担当ケアマネジャーが作成するケアプランに、サービスとして組み込まれている必要があります。
特に見落とされやすいのが、③の「ケアプランへの位置づけ」です。
通院が必要とわかった時点で、できるだけ早く担当ケアマネジャーへ相談するのが安心です。
介護タクシーは「日常生活上または社会生活上必要な外出」に限られ、病院・診療所への通院や役所での手続きなどが対象です。
趣味・観光・冠婚葬祭などは対象外となるため、その場合は自費の福祉タクシーを選びます。
要支援でもまず自治体に確認
「要支援1・2では介護タクシーは使えない」と思い込んで諦めてしまう方は少なくありません。
しかし、要支援の方にも以下のような代替の選択肢があります。
- 自費の福祉タクシーを利用する
- 自治体独自の移送支援制度(高齢者タクシー券など)を利用する
- 介護予防・日常生活支援総合事業の移動支援を確認する
自治体独自の移送支援や総合事業の対応範囲は、地域によって大きく異なります。
まずは居住地の市区町村役場(高齢福祉課など)または地域包括支援センターへ確認することをおすすめします。
同乗希望は予約時に伝える
介護タクシーでは、家族同乗は原則として認められません。
「家族が同乗できるなら家族による介助が可能」と判断されるためです。
ただし、認知症や医療的ケアが必要な場合など、特別な要件を満たす場合に限り認められることがあります。
一方、自費の福祉タクシーは比較的柔軟に家族同乗に対応しています。
希望する場合は必ず予約時に確認してください。
家族同乗の可否を左右する主なポイントは以下のとおりです。
- 車両の定員:車いすやストレッチャーを載せると、残席が限られる場合がある
- 安全面:医療的ケアが必要な場合など、乗務員の介助動線を確保する観点から制限されることがある
- 事業者の運用ルール:同乗料金の有無・定員カウントの扱いは事業者ごとに異なる
- 介護保険の給付範囲:保険が適用されるのは利用者本人への乗降介助のみで、家族の乗車分は保険給付の対象外
介護タクシーの料金はいくら?費用の仕組みと通院シミュレーション

介護タクシーの料金は、運賃や介助料など複数の要素の組み合わせで決まるため、複雑でわかりにくいと感じるご家族が少なくありません。
介護保険を使う場合でもすべてが保険の対象になるわけではないため、事前に費用の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
ここでは、費用に関する以下の2つのポイントについて解説します。
- 介護保険適用時の料金内訳(運賃・介助関連費・機器使用料)
- 通院1回の費用シミュレーション(介護保険あり・なしの比較)
それぞれ確認していきましょう。
介護保険適用時の料金内訳(運賃・介助関連費・機器使用料)
まず押さえておきたいのは、料金は単一の金額ではなく、複数の要素の組み合わせで決まるということです。
| 費用項目 | 内容 | 介護保険の適用(介護タクシーの場合) |
|---|---|---|
| ①運賃 | 時間制運賃または距離制運賃で算定 | ×(自費) |
| ②介助料 | 乗降時の介助などに対する費用 | ○(保険対象) |
| ③機器使用料 | 車いす・ストレッチャーなどのレンタル料 | ×(自費) |
| ④迎車料・待機料 | 迎車時の基本料金、目的地での待機費用 | ×(自費) |
| ⑤有料道路・駐車料 | 高速道路・有料駐車場などの実費 | ×(自費) |
| ⑥キャンセル料 | 前日・当日キャンセル時の規定額 | ×(自費) |
福祉タクシーの場合は、①〜⑥のすべてが全額自費となります。
介護タクシーの場合、保険が適用されるのは「②介助料」部分のみです。
運賃・機器使用料・有料道路代などは全額自己負担となります。
「介護保険が使える=すべて安く済む」と思い込まず、予約時に必ず「総額でいくらになるか」の見積もりを確認しましょう。
内訳を事前に把握しておくことで、当日の精算時に想定外の金額に驚くことがなくなります。
介護保険が適用される仕組みや請求の流れをより詳しく知りたい方は、次の関連記事もあわせてご覧ください。
関連記事:介護保険請求とは?全体の流れと仕組みを初心者向けに徹底解説
通院1回の費用シミュレーション(介護保険あり・なしの比較)
典型的な通院シーンを想定し、介護タクシーと福祉タクシーの費用を比較します。
【シミュレーション条件】
- 利用者:要介護2の80代男性(車いす利用・自宅→病院の片道5km)
- 利用目的:週2回(月8回)のリハビリ通院
- 自己負担割合:1割
| 項目 | ケースA:介護タクシー(介護保険適用) | ケースB:福祉タクシー(自費) |
|---|---|---|
| 運賃(片道5km) | 約1,500〜2,000円 | 約1,500〜2,000円 |
| 介助料(片道) | 約100円(保険1割負担) | 約500〜2,000円(全額自費) |
| 機器使用料(車いす) | 0〜1,000円 | 0〜1,000円 |
| 迎車料 | 0〜500円 | 0〜500円 |
| 片道小計 | 約1,600〜3,620円 | 約2,000〜5,500円 |
| 往復(1回分)小計 | 約3,200〜7,240円 | 約4,000〜11,000円 |
| 月8回利用時の目安 | 約25,600〜57,920円 | 約32,000〜88,000円 |
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「介護タクシー運転手 - 職業詳細」
※金額はあくまで目安であり、事業者・地域・利用する車両・介助内容によって変動します。
シミュレーションからわかるポイントは以下のとおりです。
- 介助料の差が費用差に最も影響します(継続利用では介護保険の有無による差が大きく広がる)。
- 運賃・機器使用料は両ケースとも自費のため、移動距離が長いと費用全体が跳ね上がります。
「月々の予算」「ご本人の身体状況」「ご家族の送迎可否」の3点をもとに、無理なく継続できる選択肢を選ぶことが重要です。
介護タクシーの車両タイプ|車いす・ストレッチャーのまま乗れる理由

介護タクシー・福祉タクシーの大きな特徴のひとつが、利用者の身体状況に合わせた専用車両を備えている点です。
車いすのまま乗り込める車両、リフトで昇降する車両、寝たままの姿勢で移動できるストレッチャー対応車両など、種類ごとに適した利用シーンが異なります。
「どの車両を選べばいいのか」は身体状況によって変わるため、まずは3つの車両タイプの特徴を整理しましょう。
| 車両タイプ | 特徴 | 適した身体状況 |
|---|---|---|
| ①スロープ式(車いす対応) | 車両後部にスロープを展開し、車いすのまま乗車 | 車いすを日常的に使用しているが、比較的安定して座位を保てる方 |
| ②リフト式(車いす対応) | 油圧リフトで車いすごと昇降し、段差の大きな車両にも楽に乗車可能 | 電動車いす・重量のある車いすを使用している方、介助者の負担を減らしたい場合 |
| ③ストレッチャー式(寝台対応) | ストレッチャーごと車両に収容し、寝たままの姿勢で移動 | 座位保持が難しい方、退院直後・術後の方、末期の療養中の方 |
基本的には固定ベルトやアンカー金具で車いすを車両に固定する仕組みが備わっているため、お手持ちの車いすのまま乗車できるケースがほとんどです。
ただし、車いすのサイズや種類(電動式など)によっては乗車できない場合があるため、予約時に必ず確認しましょう。
ストレッチャー対応車両は保有台数が限られる事業者が多いのが実情です。
退院日が確定した時点で、帰宅搬送用の車両を早めに(数日〜1週間以上前)予約することをおすすめします。
介護タクシーの使い方・予約の流れ|はじめての方向けステップ解説

介護タクシーの使い方や予約の流れは、介護保険を使うルートと自費で福祉タクシーを利用するルートで準備期間が大きく異なります。
退院後の通院など、時間的なプレッシャーがあるなかで迷わず手配を進めるためには、全体の流れを把握しておくことが大切です。
ここでは、介護保険ルートを軸とした具体的な使い方と予約の手順を、以下の3つのステップで解説します。
- STEP1:ケアマネジャーへの相談(制度の入口を開ける)
- STEP2:事業者への電話確認(具体的に業者を選ぶ)
- STEP3:予約・当日準備(乗る前の細かい情報共有)
順番に見ていきましょう。
STEP1:ケアマネジャーへの相談(制度の入口を開ける)
まず押さえておきたいのは、手配には「①介護保険ルート」と「②自費ルート」の2つがあるということです。
| ルート | 所要日数の目安 | こんな方に向いています |
|---|---|---|
| ①介護保険ルート(介護タクシー) | 約1〜2週間以上 | 要介護認定済み・費用を抑えたい・定期通院が中心 |
| ②自費ルート(福祉タクシー) | 最短で翌日〜数日 | 急ぎで移動手段が必要・要支援や認定なし・目的の自由度を重視 |
「退院が明日、来週から通院が必要」という緊急性の高いケースでは、まず②の自費ルートで当座の移動手段を確保し、並行して①の介護保険ルートの相談を進めるという対応が現実的です。
①の介護保険ルートを利用したい場合、まずおこなうべきは担当ケアマネジャーへの相談です。
電話一本で「通院に介護タクシーを使いたい」と伝えるだけで、手続きの流れを丁寧に案内してもらえます。
(担当ケアマネジャーが未定の場合は、お住まいの地域の「地域包括支援センター」へ相談してください。)
STEP2:事業者への電話確認(具体的に業者を選ぶ)
ケアマネジャーとの相談が進んだら、次は具体的な介護タクシー事業者の選定です。
対応車両や介助範囲は事業者ごとに異なるため、以下の4点を必ず確認しましょう。
- ①対応車両の種類
スロープ式・リフト式・ストレッチャー式のどれか。手持ちの車いすで乗車可能か。 - ②介助の範囲
玄関からのみか、院内同行(受付・診察室まで)まで対応可能か。 - ③予約方法とキャンセル規定
キャンセル料はいつから発生するか。 - ④緊急時の連絡体制
体調急変時などの連絡窓口があるか。
信頼できる事業者は、担当ケアマネジャーからの紹介を受けるか、自治体・地域包括支援センターで情報を得るのが確実です。
STEP3:予約・当日準備(乗る前の細かい情報共有)
利用する事業者が決まったら、具体的な予約に進みます。
予約時に必要な情報を漏れなく伝えておくことが、当日のスムーズな利用につながります。
予約時に伝えるべき情報チェックリストは以下のとおりです。
- 利用日時(往復の場合は復路の予定時刻も)
- 出発地と目的地
- 利用者の身体状況・車いすの種類
- 自宅の段差・階段の有無
- 家族同乗の希望の有無
- 院内付き添いの希望の有無
ご高齢の方は体調の変動が予測しにくいため、キャンセル料の発生タイミングも事前に確認しておくと安心です。
前日夕方までに連絡すればキャンセル料がかからない事業者が多いため、体調が思わしくない場合は早めに連絡しましょう。
介護タクシー利用時の注意点:よくある3つのトラブルと対策

介護タクシーは、はじめて利用するご家族が多いからこそ、事前の確認不足によるトラブルが発生しやすいサービスです。
予約前にポイントを押さえておくだけで、当日の不安や想定外の出費といったトラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは、実際に多く報告される以下の3つのトラブルパターンと対策について解説します。
- トラブルパターン①:介護保険が使えると思っていたが、自費部分が多かった
- トラブルパターン②:家族同乗や院内付き添いが当日できなかった
- トラブルパターン③:車いす・ストレッチャー対応車両の予約が取れなかった
それぞれの具体的なケースを見ていきましょう。
トラブルパターン①:「介護保険が使えると思っていたが、自費部分が多かった」
最も多いのが、費用の内訳に関する認識違いです。
「介護保険でほぼカバーされる」と思い込み、運賃や車いすレンタル料がすべて自費であることを知らずに予約し、当日想定外の金額を請求されるケースです。
【対策】
介護保険が適用されるのは「介助料」部分のみで、運賃などはすべて自費になる点を理解しましょう。
予約時に必ず「往復の総額見積もり」と「保険対象・自費の内訳」を確認することが重要です。
トラブルパターン②:「家族同乗や院内付き添いが当日できなかった」
「当然、家族も乗れるはず」「病院の中まで付き添ってくれるはず」と思い込んでいて、当日になって断られるケースです。
【対策】
家族同乗の可否は、車両の定員や事業者のルール、介護保険の給付範囲(介護タクシーの場合は原則不可)によって異なります。
また、院内同行も事業者やケアプランによって対応が異なります。
予約時に「何人で乗車するか」「どこまで介助してほしいか」を具体的に伝え、可否を確認しておきましょう。
トラブルパターン③:「車いす・ストレッチャー対応車両の予約が取れなかった」
特にストレッチャー対応車両は保有台数が限られている事業者が多く、直前の手配では空きがないケースが頻発します。
【対策】
退院日や通院予定が決まった時点で、3〜5日以上前には車両を予約しましょう。
定期通院の場合は、同じ曜日・時間で固定予約できる事業者を選ぶと、毎回の手配負担がなくなります。
3つのトラブルパターンを踏まえて、予約前にひと通り確認しておきたい項目をチェックリストにまとめました。
電話問い合わせ時のメモとしてお使いください。
【費用の確認】
- 往復の総額見積もりを出してもらう
- 介護保険対象部分と自費部分の内訳を確認する
- 車いす・ストレッチャーなどの機器使用料を確認する
- 有料道路・駐車料金の扱いを確認する
- キャンセル料の発生タイミングと料率を確認する
【介助範囲の確認】
- 自宅玄関〜車両までの介助範囲を確認する
- 病院玄関〜受付・診察室までの院内同行の可否
- 家族同乗の可否と同乗料金
- 医療的ケア(点滴・酸素吸入など)への対応可否
【車両・予約の確認】
- 対応車両のタイプ(スロープ式/リフト式/ストレッチャー式)
- お手持ちの車いすがそのまま乗車可能か
- 希望日時の予約可否
- 定期予約・固定予約の対応可否
- 緊急時の連絡先と24時間対応の有無
このチェックリストを印刷してタクシー事業者への電話時に手元に置いておくだけで、確認漏れがぐっと減ります。
ご家族で役割分担(電話窓口担当・メモ担当など)をして一緒に確認するのもおすすめです。
介護タクシーのよくある質問

介護タクシーをはじめて利用する際に、ご家族が抱きやすい疑問(「どんな条件があるの?」「家族は同乗できる?」「普通のタクシーより高いの?」など)をまとめました。
ここでは、以下の6つをQ&A形式で整理しました。
- Q. 介護タクシーを利用できる条件は?
- Q. 家族は同乗できますか?
- Q. 自己負担額はいくらですか?
- Q. 普通のタクシーと比べてどちらが安いですか?
- Q. 医療費控除の対象になりますか?(通院目的の場合)
- Q. 2026年時点で確認しておくべき制度変更はありますか?
これまでの内容のおさらいとして、知りたいポイントをピンポイントで確認したい方は、ぜひチェックしてみてください。
それぞれ解説します。
Q. 介護タクシーを利用できる条件は?
A. 介護保険を使う場合は、次の3つの条件を満たす必要があります。
- 要介護1〜5の認定を受けていること(要支援は原則対象外)
- 一人での乗降や公共交通機関の利用が難しい状態であること
- ケアプランに位置づけられていること(利用目的も通院などに限定)
なお、全額自費の「福祉タクシー」であれば、要介護認定の有無にかかわらず利用でき、利用目的の制限もありません。
Q. 家族は同乗できますか?
A. 事業者・車両・状況によって異なります。
「介護タクシー」の場合、介護保険は本人の乗降介助に対する給付であるため、原則として家族の同乗は不可です(認知症など特別な理由がある場合を除く)。
一方、「福祉タクシー」は比較的柔軟に同乗が認められます。
希望する場合は予約時に必ず確認してください。
Q. 自己負担額はいくらですか?
A. 介護保険適用の有無・距離・車両タイプ・介助内容によって変わります。目安として、通院片道5km程度であれば以下のような費用感です。
| ケース | 片道の目安 | 月8回(週2回)利用時 |
|---|---|---|
| 介護タクシー(保険1割負担) | 約1,600〜3,620円 | 約25,600〜57,920円 |
| 福祉タクシー(全額自費) | 約2,000〜5,500円 | 約32,000〜88,000円 |
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「介護タクシー運転手 - 職業詳細」
介護タクシーの場合でも、介護保険が適用されるのは乗降介助の部分のみで、運賃・車いすやストレッチャーの機器使用料・有料道路代などは自費となります。
Q. 普通のタクシーと比べてどちらが安いですか?
A. 一概にどちらが安いとは言えません。距離・介助の必要性・車いす利用の有無によって変わります。
ただし、車いすからの移乗介助や、玄関先の段差介助が必要な場合、家族の送迎負担などを総合的に考えると、介助のある介護タクシー・福祉タクシーを選ぶほうが結果的に安心で負担が少ないことが多いです。
Q. 医療費控除の対象になりますか?(通院目的の場合)
A. 「病状などにより通常の交通機関を利用するのが困難な場合」の通院にかかったタクシー代は、医療費控除の対象として認められる可能性があります。
治療目的の通院であり、公共交通機関の利用が困難な状態であることを領収書などで証明できる必要があります。
判断に迷う場合は税務署などへご確認ください。
Q. 2026年時点で確認しておくべき制度変更はありますか?
A. 2026年6月に施行される処遇改善加算の見直しが、介護タクシー(訪問介護)の算定要件に影響します。
基本報酬の大幅な引き上げではないため負担感は限定的ですが、処遇改善加算の拡充にともない自己負担額がわずかに変動する可能性があります。
最新情報は担当ケアマネジャーなどにご確認ください。
関連記事:【2026年最新】介護の処遇改善手当とは?新制度一本化後の金額・条件を完全解説
関連記事:ケアプラン有料化はいつから?負担額はいくら?2027年導入議論とメリット・デメリットを完全解説
【まとめ】介護タクシーを安心して使うために確認したいこと

ここまで、介護タクシー・福祉タクシーの違い、利用条件や料金の仕組み・車両タイプ・予約の流れ、よくあるトラブルまでを整理してきました。
最後に、ご家族が介護タクシーを安心して使うための3つのポイントをまとめます。
- 介護保険が使える条件を確認する
要介護1〜5の認定・一人での乗降が難しい状態・ケアプランへの位置づけ、の3条件が基本です。要支援の方は、自費の福祉タクシーや自治体独自の移送支援が選択肢になります。 - 料金と介助範囲を事前に把握する
介護保険が適用されるのは乗降介助の部分のみで、運賃・機器使用料・有料道路代は自費です。予約時に往復の総額見積もりと介助範囲の詳細を必ず確認しましょう。 - ケアマネジャーや事業者に早めに相談する
介護保険ルートはケアプラン調整に1〜2週間以上かかる場合があります。退院や通院予定が決まった時点で、できるだけ早く担当ケアマネジャーへ相談することが安心につながります。
「何からはじめればいいかわからない」という方は、担当ケアマネジャー(または地域包括支援センター)への電話相談からはじめてみてください。
介護は長く続くものであり、ご家族だけで抱え込む必要はありません。
「自分では毎回付き添えない」「一人で送り出すのが不安」と感じているのは、あなただけではありません。
制度やサービスを正しく理解し、頼れるプロの選択肢を知っておくことが、無理のない介護生活への第一歩になります。
この記事が、その一歩となれば幸いです。
介護事業者・ケアマネジャー・開業準備中の皆様へ
弊社では、介護医療院Ⅰ型(Ⅱ型は対応)を除く、ほぼすべての介護保険サービスに対応した介護ソフト「ファーストケア」を提供しています。
複雑な算定や国保連請求の業務負担を軽減し、「請求・記録・計画書」を一元管理できるのが特長です。
事務作業を効率化し、ご利用者に向き合う時間を増やしたい方は、ぜひ「ファーストケア」の導入をご検討ください。

