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協力医療機関の契約書(協定書)ひな形【全文】3要件の書き方と施設別の差し替え

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契約書や覚書など、施設ごとに書類の形式が異なり、法人内での統一に悩んでいませんか。

特養や老健などに義務付けられた協力医療機関の確保は、2027年3月31日に経過措置の終了を迎えます。
国が指定する統一様式はありませんが、要件を押さえた共通の原案を1本整えれば、施設種別や協力内容に合わせてスムーズに展開できるでしょう。

この記事では、特養・老健・介護医療院などの入所施設やグループホームなどの入居施設に合わせて書き換えられる全8条の協定書ひな形を全文掲載しています。
施設別の要件の書き分けや複数医院で分担する場合の記載例、既存書類への追記手順、医療機関への依頼文から締結後の届出まで網羅しました。

年内の書式統一や締結を確実に進めたい法人本部担当者・施設長の方は、ぜひご活用ください。

なお、義務化の全体像は、次の関連記事をご覧ください。

関連記事:協力医療機関の義務化は2027年4月から|特養など対象施設・3要件・準備期限

 

協力医療機関の契約書に国のひな形はない|作成前に知っておきたい3つの前提

協定書を作成する前に確認する3つの前提

協力医療機関の契約書(協定書)には、厚生労働省が定めたひな形がありません。
施設と医療機関が協力する内容を文書で取り決め、届出に必要な添付書類は所管自治体の案内で確認します。
名称や書式より、医療機関が担う要件が読み取れるかが大切です。

ひな形を活用する前に、次の3点を押さえておきましょう。

  • 国は書類の名称を決めておらず、中身で判断される
  • 届出に備え、担う要件が読める形で書く
  • 今ある覚書や連携契約書は、要件を書き足せば使える

3つの前提がそろえば、ひな形をどう直すかが見えてきます。

国は書類の名称を決めておらず、中身で判断される

外部の医療機関と交わすこの書類の名称は、運営基準と解釈通知のどちらも指定していません。
解釈通知は「取り決めの内容」「契約内容」と書き、特養などの届出書(別紙1)も「協定書等」の添付を求めるだけです。
徳島県も「※協定書等に各要件を満たす内容が含まれているか確認してください。」と案内しており、確認されるのは中身です。

参考:厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(平成12年3月17日老企第43号)(抄)」p.12
参考:徳島県「協力医療機関に関する届出書について【1年に1回以上提出が必要です!】」

届出に備え、担う要件が読める形で書く

協定書は、届出内容と協力内容の対応を確かめる資料になります。
施設は1年に1回以上、協力医療機関と急変時などの対応を確認し、指定権者に届け出なければなりません。

国の届出様式は、施設・サービス種別により別紙1または別紙3を使いましょう。
届出書は施設に求められる要件ごとに医療機関名を書く様式なので、どの医療機関がどの要件を担うかを条文に明記します。

なお、京都市のように写しの添付を不要とする自治体もあります。
添付の要否、指定様式、提出方法は、所管自治体の案内に従ってください。

参考:京都市「協力医療機関に関する届出について」

今ある覚書や連携契約書は、要件を書き足せば使える

担う要件が読み取れればよいため、改定前に交わした覚書や協力病院との契約書を作り直す必要はありません。
担う要件(①②③)、年1回の確認、退院後の再入所が書かれているかを確かめ、足りない項目を変更契約や追加の覚書で補います。

 

協力医療機関の契約書ひな形【全文】|書き換えて使える協定書(全8条)

施設に合わせて書き換えられる全8条の協定書

協力医療機関の契約書ひな形として、特養・老健・介護医療院ですぐに書き換えて使える協定書の全文を掲載します。
自治体の参考様式をもとに、介護保険の運営基準や解釈通知の文言に沿って実務でそのまま使える条文を作成しました。
ほかの様式例と比較して選びたい方向けのポイントもあわせて紹介します。

ここで解説する内容は次の2点です。

  • 特養・老健・介護医療院で使える協定書ひな形の全文
  • 自治体・団体の様式例は対象施設と3要件の有無で選ぶ

なお、実際に医療機関と締結する前には、法人の顧問弁護士や所管の指定権者へ内容をご確認ください。

特養・老健・介護医療院で使える協定書ひな形の全文

【 】を自施設の内容に書き換えて使います。

協力医療機関に関する協定書

【施設名】(以下「甲」)と【医療機関名】(以下「乙」)は、甲の入所者の病状が急変した場合等の対応について、次のとおり協定する。

第1条(指定) 甲は、【指定介護老人福祉施設基準第28条】に基づき、乙を協力医療機関と定める。

第2条(協力の内容) 乙は、次のうち☑を付けた体制を確保する。
□(1)入所者の病状が急変した場合等において、医師又は看護職員が相談対応をおこなう体制を常時確保すること
□(2)甲からの診療の求めがあった場合において、診療をおこなう体制を常時確保すること
□(3)入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保すること(病院に限る)

第3条(年1回の確認) 甲乙は、1年に1回以上、急変時等の対応を確認し、確認日と担当者を記録する。甲は乙の名称等を指定権者に届け出る。

第4条(入院・再入所) 乙は、第2条(3)を担う場合、入院を要する入所者を原則として受け入れる。甲は、退院可能となった入所者が速やかに再入所できるよう努める。

第5条(新興感染症) 甲は、第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を取り決めるよう努める。乙が第二種協定指定医療機関である場合、甲乙は第3条の確認とあわせて、新興感染症の発生時等の対応を協議する。

第6条(連絡体制) 相談・診療・入院の連絡先、対応する曜日と時間帯、連絡の順番は別紙に定める。

第7条(情報共有・費用) 甲は入所者の同意を得て必要な情報を乙と共有し、甲乙は個人情報を適切に扱う。費用の有無と額は協議して定める。

第8条(期間・変更) 有効期間は【締結日】から1年とし、満了の1か月前までに申し出がなければ1年ずつ更新する。変更は書面で合意する。事前の変更許可等が法令上必要な場合、甲は所定の手続きを経たうえで変更する。協力医療機関の名称や契約内容を変更した場合、甲は指定権者に速やかに届け出る。定めのない事項は協議して定める。

本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。
【年月日】 甲乙の所在地・法人名・名称・代表者を記名押印

上記のひな形は、静岡市の構成を参考にした記事独自の例で、法的助言ではありません。

参考:静岡市「協力医療機関協定書(ひな形)」

自治体・団体の様式例は対象施設と3要件の有無で選ぶ

ほかの様式例は、対象施設と、3要件・年1回の確認・再入所の有無で選びます(2026年10月12日確認)。

自治体・団体が公開する協定書ひな形の比較
公開元 名称・形式 3要件 年1回の確認・再入所
静岡市 協力医療機関協定書(ひな形)PDF・5条 あり(特養・養護・軽費の基準を引用) あり
松阪市 協力医療機関協定書(ひな形)Word・4条 あり なし
全国老施協・全老健・日本GH協 各団体の協定書・契約書の雛形 会員限定のため未確認 会員限定のため未確認

埼玉県・京都市・愛知県が公開する例は障害福祉サービス向けで、3要件の文言が2026年10月現在ではありません。

大阪府・大阪市・堺市は協定書の様式を公開していないため、大阪の施設も本記事のひな形をもとに作れます。

 

協力医療機関の契約書ひな形の条文を確認表で基準と照らし合わせる

基準の要求と協定書の条文を照合する確認表

協力医療機関の契約書は、基準が求める事項がひな形のどの条文に書かれているかを確認表で照らし合わせると、書き漏れを防げます。
条文は、基準の文言どおりに書くものと、医療機関と話し合って決めるものの2種類です。

ここでは、確認表と、書き方の異なる2種類の条文を順に見ていきます。

  • 確認表で基準の5項目と条文の対応を確かめる
  • 第1~5条は基準の文言を使い、担う要件だけを選ぶ
  • 第6~8条は医療機関と話し合って実情に合わせる

確認表から先に読むと、直す箇所がすぐに見つかります。

確認表で基準の5項目と条文の対応を確かめる

ひな形を直したら、基準が求める5項目が条文にあるかを確かめます。

基準の5項目と協定書の条文の対応
基準の要求 根拠(特養) 条文 確認する点
①担う要件 第28条第1項 第2条 ③に☑を付けるのは病院だけか
②年1回の確認と届出 第28条第2項 第3条 確認日と担当者を残すか
③退院後の再入所 第28条第5項 第4条 再入所に努める定めがあるか
④新興感染症 第28条第3項・第4項 第5条 第二種協定指定医療機関との取り決めに努めることと、乙が該当する場合の協議を定めているか
⑤変更時の手続き 解釈通知 第8条 変更時の届出と、法令上必要な場合の事前許可の手続きを定めているか

グループホームなどは項の番号が異なりますが、確認する項目は同じです。
既存の覚書も、この5項目で過不足を判断できます。

参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第16号)」p.169 「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(平成12年3月17日老企第43号)(抄)」p.12~13

第1~5条は基準の文言を使い、担う要件だけを選ぶ

確認表の①~④にあたるひな形の第1~5条は、運営基準(特養は第28条)の文言をそのまま使います。
ひな形の第1条にある根拠条文を施設種別に合わせて差し替えたうえで、第2条の☑で医療機関が担う要件を選びましょう。

第3条の年1回の確認・届出も、すべての対象施設に共通する規定のため書き換えは不要です。

また、ひな形の第4条(再入所)と第5条(新興感染症)も、施設や医療機関に過度な負担を強いる条文ではないため、原則としてそのまま残せます。

まず、ひな形の第4条(運営基準第28条第5項)にあたる退院後の再入所について、解釈通知では次のように説明しています。

「速やかに入所させることができるよう努めなければならない」とは、必ずしも退院後に再入所を希望する入所者のために常にベッドを確保しておくということではなく、できる限り円滑に再入所できるよう努めなければならないということである。

引用:厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(平成12年3月17日老企第43号)(抄)」p.13

このように空床確保まで求める規定ではないため、施設側の努力義務としてそのまま記載して問題ありません。

続いて、ひな形の第5条(運営基準第28条第3項・第4項)にあたる新興感染症についても、取り決め自体は努力義務であり、相手先は協力医療機関(乙)以外の第二種協定指定医療機関でも構いません。
乙が第二種協定指定医療機関である場合は年1回の協議が義務付けられますが、解釈通知でも「協議の結果、取り決めがなされない場合も考えられる」と明記されています。
乙が該当しない場合も含め、ひな形の第5条はこの文言のまま残しておけば基準を満たせます。

第6~8条は医療機関と話し合って実情に合わせる

法令の文言に沿う第1~5条に対し、ひな形の第6~8条は医療機関と話し合って実情に合わせる項目です。

まず第6条の連絡体制では、平日の日中と夜間・休日の連絡先を別紙に分けて整理します。
あわせて、診療の方法が外来か往診か、満床などで入院を受け入れられない場合に他院を紹介してもらえるかといった具体的な運用も明記しておきましょう。

続く第7条(情報共有・費用)では、入所者から個人情報提供の同意を得る方法や共有の手順を取り決めます。
協力医療機関連携加算を算定する場合は、情報共有の会議の頻度も加算要件に合わせて設定してください。
なお、協力医療機関へ支払う費用は国の基準に定めがないため、支払いの有無を双方で協議します。

最後の第8条(期間・変更)は、協定の開始日や更新期間を相手先の希望とすり合わせて記入すれば完成です。

 

協力医療機関の契約書ひな形を施設種別と分担の有無で書き分ける

施設種別と医療機関の分担に応じた条文の調整

協力医療機関の契約書ひな形は、自施設の種別や体制に合わせて第1条の根拠条文と第2条の協力要件を差し替えるだけで、柔軟に使い分けられます。
また、1つの医療機関ですべての要件を満たせない場合でも、要件ごとに複数の医療機関と分担して締結することが可能です。

法人内で書式を統一したい場合は、差し替え箇所を空欄にした共通テンプレートを作成しておくと、スムーズに運用できます。

ここでは、施設種別に応じた3つのグループと、要件を分担する場合の書き方を順に解説します。

  • 特養・老健・介護医療院・養護老人ホーム:3要件すべてを記載
  • グループホーム・特定施設・軽費老人ホーム:①②の2要件を記載
  • 住宅型有料老人ホーム:自治体の指導指針に沿って協力内容を調整
  • 複数医療機関での分担:協定書を2本に分けて締結

自法人が運営する施設の種別と照らし合わせながら、必要な項目をご確認ください。

特養・老健・介護医療院・養護老人ホーム:3要件すべてを記載

最初に差し替えるのは第1条の根拠条文です。
次の施設は3要件で書き、第2条の(1)~(3)を残します。

3要件を記載する施設の根拠条文
施設種別 第1条の根拠条文
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 指定介護老人福祉施設基準第28条
地域密着型介護老人福祉施設 指定地域密着型サービス基準第152条
介護老人保健施設 介護老人保健施設基準第30条
介護医療院 介護医療院基準第34条
養護老人ホーム 養護老人ホーム基準第25条

参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第16号)」p.88~89・164・169・176・196、附則第6条 p.242

これらは2027年3月31日まで努力義務、4月1日から義務のため、期限までに締結と届出を済ませましょう。

グループホーム・特定施設・軽費老人ホーム:①②の2要件を記載

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)や特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護と軽費老人ホームも対象です。
これらの施設では協力医療機関の確保が義務ですが、①相談対応と②診療の2要件を満たすことは努力義務とされています。
介護予防特定施設入居者生活介護なども、自治体の案内では同じグループとして扱われるのが一般的です。

ひな形の第1条に入れる根拠条文は、施設種別ごとに次のとおり差し替えます。

2要件を記載する施設・サービスの根拠条文
施設・サービス種別 第1条の根拠条文
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 指定地域密着型サービス基準第105条
地域密着型特定施設入居者生活介護 指定地域密着型サービス基準第127条
特定施設入居者生活介護 指定居宅サービス基準第191条
軽費老人ホーム 軽費老人ホーム基準第27条

参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第16号)」p.30~31・80~81・84・190~191

条文を調整する際は、ひな形の第2条から(3)の入院受け入れを削除します。
あわせて第4条からも入院受け入れの文言を外し、退院後の再入居に関する努力義務だけを残しましょう。

なお、第3条にある年1回の確認と届出はそのまま維持します。
グループホームと特定施設では、運営基準の表記に合わせて文中の「入所者」を「入居者(または利用者)」などへ書き換えてください。

住宅型有料老人ホーム:自治体の指導指針に沿って協力内容を調整

住宅型有料老人ホームでは、所在地の自治体の指導指針に沿って協力内容を決めます。
国の「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」(最終改正:令和6年12月6日)は自治体への技術的助言であり、各自治体が地域の指導指針を定める際の参考となるものです。

国の標準指導指針は、次のように示しています。

あらかじめ、医療機関と協力する旨及びその協力内容を取り決めておくこと。その際、入居者の急変時等に、相談対応や診療を行う体制を常時確保した協力医療機関を定めるよう努めること。

引用:厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」

このほか新興感染症・再入居・入居者への周知なども示されています。
ひな形は、第1条の根拠を所在地の自治体の指導指針に合わせ、第2条を①相談対応・②診療の協力内容に差し替えます。

国の標準指導指針8⑼には、介護保険の対象施設と同じ年1回の協力医療機関の届出制度は定められていません。
第3条の年1回の行政届出と第8条の変更時届出の部分も、所在地の自治体の指導指針・報告の取扱いに合わせて修正します。

定期的な対応確認は、自主的な契約条項として設けることができます。

介護付きは前項の扱いです。

厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」p.1~2・20

複数医療機関での分担:協定書を2本に分けて締結

1つの医療機関で3要件をそろえられないときは、複数の医療機関と協定を分けて結ぶことが可能です。
省令は「複数の医療機関を協力医療機関として定めることにより当該各号の要件を満たすこととしても差し支えない」としています。

たとえば、在宅療養支援診療所とは①②、病院とは③の協定を2本結びます。
第4条に入院受け入れを記載するのは、病院側の協定書だけです。

別紙には「まず診療所へ相談し、入院が必要なら病院へ」という順番を書き、特養は緊急時などの対応方針にある「曜日や時間帯ごとの医師や協力医療機関との連携方法」とそろえるとよいでしょう。

参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第16号)」p.169「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(平成12年3月17日老企第43号)(抄)」p.7・12

 

協力医療機関への依頼から契約書の締結までの4ステップ|依頼文の例文つき

協力医療機関への依頼から締結までの4ステップ

協力医療機関の契約書は、施設が依頼の資料と条文の案をそろえてから打診すると、締結までの調整が少なく済みます。
引き受けてほしい範囲が文書で伝わり、医療機関が院内で検討しやすくなるためです。

依頼から締結までを、次の4ステップで進めます。

  1. ステップ1:依頼する要件と施設の情報を1枚にまとめる
  2. ステップ2:依頼文にひな形を添えて医療機関へ打診する
  3. ステップ3:医療機関と条文を読み合わせて修正する
  4. ステップ4:2通作成して締結し、職員に連絡先を周知する

ステップ2では、書き換えて使える依頼文の例文も紹介します。

ステップ1:依頼する要件と施設の情報を1枚にまとめる

依頼する要件(①②③)と施設の情報を1枚にまとめると、医療機関が依頼内容を検討しやすくなります。
施設の情報には、入所者数と医療的ケアが必要な入所者数を記載し、配置医師・看護職員の体制や相談が想定される時間帯、施設の所在地も含めましょう。

ステップ2:依頼文にひな形を添えて医療機関へ打診する

1枚資料とひな形を添えて、院長や地域連携室に打診します。
例文は次のとおりです。

【医療機関名】院長 【氏名】様

協力医療機関のお引き受けのお願い

日頃より入所者の診療にご協力いただき、ありがとうございます。当施設では協力医療機関との連携体制を構築するため、貴院に入所者の病状が急変した場合等の【相談対応・診療・入院の受け入れ】をお願いしたく、ご相談申し上げます。施設の概要と協定書の案を同封しますので、【年月日】までにお考えをお聞かせください。

【施設名】施設長 【氏名】(電話:【番号】)

ステップ3:医療機関と条文を読み合わせて修正する

前向きな返事があれば、ひな形を1条ずつ読み合わせます。

修正が入りやすい項目は、

  • 担う要件の範囲
  • 夜間・休日に連絡を受けられる時間帯
  • 費用
  • 有効期間

などです。

「ひな形(3)」の入院受け入れを断られた場合は、分担を前提に別の病院を探します。

修正後は確認表で点検してから、法人内の決裁に回してください。

ステップ4:2通作成して締結し、職員に連絡先を周知する

協定書を2通作成して記名押印し、双方で1通ずつ保管して、届出用の写しも残します。
夜間の連絡先と連絡の順番は、研修や掲示で職員に周知します。

法人本部は、「施設名」「協力医療機関」「担う要件」「締結日」「有効期間」を管理表にまとめると、更新の時期を把握できるでしょう。

 

協力医療機関の契約書を締結したあとの届出と年1回の見直し

締結後の届出と年1回の連携体制の確認

協力医療機関の契約書は、締結後も届出や年1回の確認に用いる書類です。
添付書類は所管自治体の案内で確認し、医療機関や契約内容に変更があれば、必要な手続きをおこないます。
毎年の確認に向けた準備も決めておけば、届出の際に慌てずに済むでしょう。

ここでは、締結後に必要な対応を、「届出」と「年1回の確認」に分けて見ていきます。

  • 届出様式・添付書類を確認し、変更時も必要な手続きをおこなう
  • 年1回の確認に使う入所者情報は日々の記録から準備できる

提出時期と提出先は、指定権者の案内ページで確かめておきましょう。

届出様式・添付書類を確認し、変更時も必要な手続きをおこなう

国の届出様式は、施設・サービス種別により別紙1または別紙3を使います。
厚生労働省が公開するExcel様式は、以下のリンクから直接ダウンロードできます。

協力内容がわかる書類の添付の要否、指定様式、提出方法は、所管自治体の案内に従ってください。
分担した場合は、担う要件の欄にそれぞれの医療機関名を記載し、添付が必要な場合は各医療機関との協力内容がわかる書類を提出します。

内容を変えたときの届出(変更届)について、解釈通知は次のとおり定めています。

協力医療機関の名称や契約内容の変更があった場合には、速やかに指定権者に届け出ること。

引用:厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(平成12年3月17日老企第43号)(抄)」p.12

ただし、老健・介護医療院で協力医療機関自体を変更する場合は、事前の変更許可申請が必要です。
変更前に所管自治体へ申請し、許可を受けてください。

名称や契約内容を変更する場合も、必要な届出・申請手続きを所管自治体に確認してください(変更手続きの案内例:京都市)。

添付書類と提出期限は自治体によって異なります。
以下は、添付書類の条件や期限の違いを示す自治体の案内例です。

大阪市は「協力内容がわかる書類は対応の確認を行った日が分かるものを添付してください。」と案内しています。

提出期限は、徳島県・松阪市が毎年度3月末まで、姫路市が毎年度4月中です。

年1回の確認に使う入所者情報は日々の記録から準備できる

届出書には要件ごとに確認日を書くため、年1回の確認は記録を残しておこないます。
特養では、緊急時などの対応方針を年1回以上見直す際に、あわせて確認する方法も解釈通知で示されています。

記録のまとめ方の参考になるのが、堺市が公開する「協力医療機関連携体制確認 協議録」です。
同市は、「確認したこと」「担当者」「確認日」がわかるように記録を残すことを案内しています。

参考様式は、以下のリンクから直接ダウンロードできます。

参考:堺市「協力医療機関に関する届出について」

また、年1回の確認や協力医療機関連携加算の会議では、入所者の病歴や服薬状況、直近の状態を医療機関へ共有しなければなりません。
会議のたびに全入所者の情報を一から集めると、現場の負担が大きくなります。
普段の介護記録から必要な情報をすぐに取り出せる体制を整えておくのが効果的です。

協力医療機関の契約書は、締結後の届出と年1回の確認まで見据えて管理することが大切です。
確認の記録を残し、日々の介護記録を情報共有に活かして、医療機関との連携を継続していきましょう。

 

協力医療機関の契約書・協定書に関するよくある質問

協力医療機関の契約書に関するよくある質問

協力医療機関の契約書・協定書について、本文で取り上げなかった疑問のうち、施設長や法人本部の担当者から出やすいものに回答します。

締結の前後で迷いやすい次の3問を取り上げます。

  • 訪問診療の契約書を協力医療機関の契約書として使えますか?
  • 協力医療機関の協定書は毎年結び直す必要がありますか?
  • 協力医療機関に委託料などの費用を払う必要はありますか?

気になる質問からご覧ください。

訪問診療の契約書を協力医療機関の契約書として使えますか?

そのままでは代わりになりません。
訪問診療の契約は入所者ごとに結ぶもので、施設と医療機関の協力内容(担う要件や連絡体制)を定める書類ではないためです。

訪問診療を担う医療機関に①②を依頼し、別に協定書を結ぶ方法があります。

協力医療機関の協定書は毎年結び直す必要がありますか?

結び直す必要はありません。
基準が毎年求めるのは、急変時などの対応の確認と届出です。

ひな形の第8条のように自動更新を定めておけば、内容が変わらない限り同じ協定書を使えます。

協力医療機関に委託料などの費用を払う必要はありますか?

国の基準に費用の定めはなく、有無と金額は医療機関との協議で決めます(ひな形の第7条)。
医療機関側には、協力対象施設入所者入院加算など、介護施設との連携を評価する診療報酬があります。

 

【まとめ】協力医療機関の契約書はひな形を自施設向けに直して締結しよう

協定書の作成から締結・届出までの確認事項

協力医療機関の契約書(協定書)ひな形は国指定のものがないため、本記事のひな形を自施設向けに手直しして活用することで、迷わずスムーズに作成・締結できます。
確認表で基準の5項目と照らし合わせれば、条文の漏れを防げます。
特養・老健・介護医療院・養護老人ホームは、2027年3月31日までに3要件をそろえましょう。

  • ☐ 第1条の根拠条文と第2条の要件を、施設種別に合わせて書き換えた
  • ☐ 確認表の5項目が条文に入っているかを確かめた
  • ☐ 要件を分担する場合は、医療機関ごとに協定書を分けた
  • ☐ 依頼文と1枚資料を用意して打診した
  • ☐ 指定様式・添付の要否・提出方法・期限を指定権者の案内で確かめた

まずは第一歩として、自施設の種別に合わせてひな形の第1条と第2条を書き換えるところからはじめてみてください。

ただし、協定書の締結はゴールではなく、入所者の命と暮らしを守る「生きた医療連携」のスタートラインです。
もしもの急変時に、夜間でも迷わず医師へ正確な状態を伝えられること。
年1回の確認会議の前に、職員が残業して書類を探し回らなくて済むこと。
その安心を支えるのは、1枚の契約書だけでなく、日々の確かな介護記録です。

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